飼育の仕方

モンシロチョウ・アゲハチョウ等の飼い方
(寄生バチ・寄生バエ対策を含めて)

モンシロチョウやアゲハチョウ類を飼育観察するときは、寄生バチや寄生バエの対策をしておかないと、飼育観察している幼虫や蛹(さなぎ)を寄生バチや寄生バエに食べられてしまい、モンシロチョウやアゲハチョウ類の観察ができなくなってしまいます。寄生バチや寄生バエは、食草に卵を産み付けておいたり、モンシロチョウやアゲハチョウ類の卵や幼虫に直接卵を産み付けたりします。そこで、少しでも寄生バチや寄生バエの被害を減らす飼育観察の方法を記載します。

1,モンシロチョウの寄生バチ対策

モンシロチョウは、寄生バチに卵を産み付けられていることがよくあります。

学校ではモンシロチョウの観察のために、春先からキャベツ等のアブラナ科の食草を畑に植えているところが多いと思います。モンシロチョウのメスはキャベツ等の葉に卵を産み付けます。卵が孵化(ふか)し、幼虫になると、アオムシコバチやアオムシサムライコマユバチ等の寄生バチに卵を産み付けられて、モンシロチョウの幼虫はその身体を食べられてしまうことがあります。この寄生バチ等による被害をできるだけ防ぐには、モンシロチョウの卵を確認できたら、キャベツごと早く防虫ネットをかぶせる等の対策が必要になります。しかし、防虫ネットを被せると、モンシロチョウの幼虫→蛹→成虫の観察がしにくくなります。

そこで、キャベツの苗を畑に植えるときに、鉢を用意し、鉢植えのキャベツを何鉢か畑においておきます。

キャベツにモンシロチョウの卵が確認できたら、鉢植えのキャベツを室内(学校では教室内や廊下など)に移動させます。鉢植えのキャベツが入れられる飼育ケースがあれば、その中に入れます(室内において観察すれば寄生バチの被害は大幅に減ります)。

この後、注意しなければいけないのは、幼虫から蛹になるときに、幼虫は蛹になる場所を求めて移動するため見失ってしまうことです。飼育ケースに入っていれば大丈夫ですが、飼育ケースに入っていない場合は、幼虫がある程度大きくなったら、キャベツの葉または鉢ごと飼育ケースに移しておく必要があります。この時、蛹になる場所として小木を入れておくのもいいでしょう。ただし、飼育ケースのフタや周りの部分で蛹になることが多いようです。

2,アゲハチョウ類の寄生バチ対策

アゲハチョウ類もアゲハヒメバチやアオムシコバチ等の寄生バチ等の被害に遭遇することが多いようです。そこで、できるだけ卵や若齢幼虫のうちに飼育ケースでの観察をするようにした方が寄生バチ等の被害を減らすことになります。

アゲハチョウ類の卵はミカン(ナツミカン・ユズ等)やサンショウの若葉や茎についていることが多いようです。孵化した幼虫は、葉の表に黒い幼虫として見つけられます。

幼虫が大きくなっていくと、寄生バチ等に卵を産み付けられる機会が増えます。

室内の飼育ケースでアゲハチョウ類を飼育観察することで注意をしなければいけないことは、食草の葉を枯らさないように新しい葉に入れ替えることです。しかし、3~4日間くらい連続して飼育ができない場合、食草の補充ができずに幼虫が死んでしまうことがあります。

そこで、小さめの薬ビンや牛乳ビンを用意し、ビンの中に水を入れ、幼虫の付いているミカン類の枝をビンの中に差し込みます(枝の差し込み部分をナイフで削るとより一層日持ちがします)。また、幼虫がビンの上部から水に潜り込まないように、ティッシュなどでフタをするといいでしょう。

幼虫が大きくなってきたら、葉を食べなくなり、蛹になる場所を探し始めます。蛹になる場所になるように小木を入れてあげるとよいでしょう。しかし、蛹はモンシロチョウと同じように、飼育ケースのフタやケース内の周りの部分でなることが多いようです。